life#2

Marriott
■Star In My Life / Steve Marriott
第1期ハンブル・パイ解散後のスティーヴ・マリオットの活動はいささか迷走気味です。特に近年はいろいろ発掘音源がそろって聞く側もよくわけがわからなくなっている状態です。レココレあたりでまたちゃんと特集してほしい(スモフェじゃなくてパイを)ですね。
わかる範囲で書いていきます。マリオットのワンマン・バンドと化した末期ハンブル・パイは75年の「Street Rats」をもって解散。解散後結成したのがスティーヴ・マリオッツ・オール・スターズで、パイ時代の同僚(グレッグ・リドレー(b)、クレム・クレムソン(g))にイアン・ウォーレス(ds)、元ヘヴィ・メタル・キッズのミッキー・フィン(g,vo)にマリオットの5人組でした。このメンバー(クレムソンは不参加)でレコーディングした新作は、A&Mから売れないと突っ返され、仕方なくLA録音部分を加えてリリースされたのが76年の「Mariott」です。
そのブリティッシュ・サイドでは、ほとんどパイと変わらないブギー〜ハードロックが展開されていますが、再編スモール・フェイシズでもプレイされるボビー・ウーマックのカヴァー"Lookin' For Love"、末期スモフェのナンバー"Wam Bam Thank You Ma'am"も収められています。一方アメリカン・サイドは、デイヴィッド・フォスター(kb〜当時アティテューズ)、ベン・ベネイ(g)、マイク・ベアード(ds)、アーニー・ワッツ(sax)、デニス・コヴァリック(b)らスタジオ・ミュージシャンによる匿名的な演奏。少なくともハードロック色は薄いです。イアン・ウォーレスとの共作になる"Star In My Life"は、フォスターのsyn、レッド・ローズのsteel、さらにはブラックベリーズのコーラスとホーンが加わるモダン・ゴスペル(?)なナンバーで少なくとも日本では、パイ・ファンの失笑を買ったような気がします。けれど、実はこういった路線こそがマリオットの進む道だったのではないかあと今では思います。このアメリカン・サイドでは当時のソウル・ミュージックに呼応したファンキーなナンバーも並んでいて、これはこれでなかなか楽しいです。

この前後でしょうかScrubbersと言われるバンドもマリオットはやっていて、自宅録音を含む大量の音源がCD化されています。96年に独Repertoireから出た「Steve Marriott's Scrubbers 」が最初なんでしょうが、ティム・ヒンクレー(kb〜ジョディ・グラインド)、リドレー(b)にクレムソン(g)、ウォーレス(ds)、ボズ・バレル(b〜バッド・カンパニー)、メル・コリンズ(sax)、BJコール(steel)を加えた面々ですが、意外とこれからオール・スターズが派生したのかもしれません。派生と言えばマリオッツ・オール・スターズ後期のメンバー、デイモン・ブッチャー(kb)とクレムソンは解散後デイヴィッド・バイロンユーライア・ヒープ)とのラフ・ダイアモンドに参加します。