【続ウルトラな日々】超兵器R1号

セブン、第26話

地球を守るためならば、地球人が生き残るならば、他の惑星を滅ぼすこともやむをえない、という命題は、現在でも大いに考えさせる問題です。この話がOAされた68年当時は、東西冷戦は緩和期に入っていたといわれますが、米ソの核開発をなぞったかのような兵器開発のくだりはコドモ番組とは思えないくらい深い。宇宙人でもあるモロボシ・ダンは「地球を守るためなら、何をしてもいいのですか? それは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ…」という印象的なセリフを吐きます。「血を吐きながらの悲しいマラソン」で、思い出すのは映画「ひとりぼっちの青春」での過酷なマラソンダンスですが、あの映画は69年日本公開。ホレス・マッコイの原作が念頭にあったのかもしれません(すごい妄想)。ギエロン星獣は、セブンの武器も歯が立たないので、最後は肉弾戦。翼をちぎりアイスラッガーを短刀のように持ち、喉元を掻ききる(この辺は「椿三十郎」のラストを思い出す)。ちぎられた翼からは羽毛が、喉元から黄色い液体が飛び散り、平和な田園風景を染めるシーンは、妙に印象的。子供心にはよくわからなかったのだけど、核兵器保有すれば、抑止力として働き世界平和が保たれると各国が本気で考えてた(今も考えてる人がいる)頃の話。岡本喜八作品でもおなじみの田村奈巳さんが科学者として出演もうれしいです。