time#3
■Rock And Roll Time / Roger McGuinn
「海賊」という邦題がついた*1ロジャー・マッギンの「Cardiff Rose」('76)は、繊細なリトグラフのジャケットが印象的な1枚で、ボブ・ディランのローリング・サンダー・レヴューに参加したマッギンが、そこで知り合った元モット・ザ・フープルのミック・ロンソン(g,p,vo)、デイヴィッド・マンスフィールド(g,banjo,steel)、ロブ・ストナー(b)、ハウイー・ワイス(ds)らと作り上げた5枚目のソロです。
ディランのローリング・サンダー・レヴューは、70'sのディランの活動では、ザ・バンドとの74年のツアー、日本を含む78年のワールドツアー、71年のコンサート・フォー・バングラデッシュ以上に重要なものだと個人的には思っていますが、この模様を収めたブートレッグシリーズも実はそれほど聞きこんでいないのです…
グアムと名付けられたバンド(ストナー、ワイス、ロンソン、マンスフィールド、T-ボーン・バーネット(g,vo)、スカーレット・リヴェラ(vn)、ボブ・ニューワース(g,vo)、スティーヴン・ソールズ(g,vo)、ルーサー・リックス(ds)、ジョーン・バエズ(g,vo)、ロニー・ブレイクリー(vo)、マッギン)の演奏に続いて各人のソロがあり、決してディランだけが主役ではないこの大がかりな一座の公演は、手作りライヴであり、小さな会場を選び、直前に告知するというゲリラ的な手法で行われました。マッギンはそこでバーズ時代のナンバーやこのアルバムのタイトル曲でもある"Jolly Roger"を歌ったようです。ツアーはメンバーを変え76年にも続けられていますが、75年のツアー後録音に取り掛かったようです。ケルト的な"Jolly Roger"もありますが、基本的にはロックンロールで、"Take Me Away"、"Rock And Roll Time"、"Roundtable"はこれにあたります。とりわけRSRのオブザーバーでありメンバーの人選にも関わったという、ニューワースとクリス・クリストファソン、マッギンの共作になる"Rock And Roll Time"は強力なロックンロールで、力強いロンソンのgのリフに乗せて、マッギンは歌いますが、ストナー=ワイスの重いリズムがこの曲を支えています。ニューワースのカヴァーもありますが、文句なしにこちらの勝ち。LP時代これを買ったのは、80's半ばで、マッギンのソロとしては最初だったかなあ。ジョニ・ミッチェルの"Dreamland"、ディランの"Up To Me"といったリリース当時は未発表曲だったナンバーを含むこともあって、Rolling Stone誌あたりでは高い評価だった気がします。
これはマッギン(ディランはマグインと発音)が参加した"Knockin' On Heaven's Door"です*2
90'sに入ってソロで来日したマッギンを渋谷のクアトロで見ましたが(基本的にソロの弾き語りでしたが、バックとしてSHOGUNのケーシー・ランキン他日本側が用意したミュージシャンが参加)、バーズ時代のナンバーにおもわず涙でした。ライヴであんなに涙が出たのは初めてだった覚えです。